◆◇━━━━━◇◆ 心と体のリハビリテーション研究会 ◆◇━━━━━◇◆        〜*−*〜 KOKO-KARA Information 〜*−*〜              第59号:2016.8.7            筋膜ってなに??            http://www.koko-kara.info/ ◇◆◇◆◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆◇◆◇   「KOKO-KARA Information」は、心と体のリハビリテーション研究会が主催  した研修会・講演会等に参加された方、ホームページからメルマガの配信を  希望された方に月1〜2回、無料で情報を配信するものです。 CONTENTS〈目次〉───────────────────────────  ■ 筋膜ってなに??  ■ Spine Dynamics 学術シンポジウム2016  ■ Spine Dynamics 療法特別研修会  ■ Spine Dynamics 療法研究会(スパイン研)  ■ Spine Dynamics 療法認定制度  ■ 編集担当者からの一言 ───────────────────────────────────            ■ 筋膜ってなに?? ■ ───────────────────────────────────   近年、テレビなどのメディアを通して『筋膜』という言葉をよく目にする  ようになりました。それに伴い、患者様から「筋膜とは何??」との質問を  受けることがあります。そこで今回は、筋膜に着目してみました。  ■筋膜とは?   Ida P.Rolf博士は、『筋膜は構造の器官であり、三次元空間で身体を正し  く保つための器官である。』と述べています。   筋膜とは、皮下組織から存在する白く薄い膜であり、英語のFasciaを筋膜  と訳しているため誤解されがちですが、筋肉だけを包む膜ではなく、骨、内  臓器官、血管、神経など身体のあらゆる構成要素を包みこみ、それぞれの場  所に適正に位置するよう支えています。つまり、人体は、全身が筋膜という  容れ物で中身を傷つけないように包まれているのです。また筋膜は、コラー  ゲン組織のため可塑性に富んでいます。つまり怪我や緊張など様々な内的・  外的ストレスによって短縮や過緊張や他の筋膜と癒着して変形します。   筋膜はよくベストに例えられ、ベストは引っ張るとストレスは様々な方向  へ広範囲に伝わります。そしてそのストレスがベストの伸縮限界を超えると  ベストは縒れてしまい、このような状態が人体の中でも起きていると考えら  れています。  ■筋膜治療の有用性   ご存知の方も多いと思われますが、徒手療法の一手技である筋膜リリース  は穏やかな圧力と弾性・膠原線維を意識した持続伸張により膜組織のねじれ  を元に戻し、可動性や伸張性の改善を目的としたテクニックです。その手技  特性によりアライメントの改善や急性・慢性の疼痛軽減を始めとしてパフォ  ーマンスの向上、退行変性の予防など幅広く用いることができます。筋膜リ  リースのゴールは筋膜制限を解除し身体平衡を元に戻して、影響を受けた領  域に血流量を増やす血管運動神経の反応を引き出し(ヒステレーシス)、リ  ンパドレナージを改善することで軟部組織固有感覚の感覚機構をリセットす  ることにあります。   勝又らによると、ハムストリングスのスタティック・ストレッチ(以下、  SS)と筋膜リリースの効果を比較すると筋膜リリースの効果は1日以上継続  し、SSに比べ他動運動時の伸張性の改善あるいは疼痛閾値の上昇を期待でき  ると報告されています。SSでは、ゴルジ腱器官の活性化は少なく顕著な反応  は起こさないとされていることから、SSは筋組織の硬結を改善し伸張性を向  上させることはできますが、ゴルジ腱器官を介した神経学的な対象筋の筋緊  張低下を期待することはできません。それに対して筋膜リリースの穏やかな  圧力と持続的伸張は筋にリラクセーション効果をもたらし、筋−腱移行部に  存在するゴルジ腱器官にも伸張刺激を直接入れることでその働きを活性化さ  せ狙った筋を抑制し、伸張しやすくすることができます。   また臨床上よく経験する下腿浮腫が、筋膜リリースを行うことで筋膜を構  成する支持組織の正常機能である代謝物質の交換・輸送の働きを改善するこ  とにより浮腫の改善が見られたという報告もあります。   日々の臨床において、患者様のモチベーションを維持していくことは常に  課題となりますが、筋膜リリースのように即時的な効果があることで心理的  にも治療に対してのモチベーションが向上しやすく、積極的な治療への取り  組み、自宅でのセルフエクササイズも継続的になり、治療の効果が向上する  要因になると考えられます。 【引用・参考文献】  (1) 竹井仁 監訳:人体の張力ネットワーク 膜・筋膜 最新知見と治療ア    プローチ  (2) 勝又泰貴ら:筋膜リリースの効果−即時効果と持続効果に関する検討−  (3) 福林秀幸ら:筋膜リリースによって下腿浮腫が改善した症例  (4) 板場英行、石井慎一郎 訳:アナトミー・トレイン 第2版 ───────────────────────────────────        ■ Spine Dynamics 学術シンポジウム 2016 ■     ───────────────────────────────────      集まれ全国のセラピストの仲間たち         新しい治療概念でパラダイムシフトを              相互啓発でさらに理解を深めよう   理学療法が誕生して50年、これまで世界的に評価法や治療法の研究開発が  行われているが、今もって臨床現場の慢性疼痛疾患治療スタンダードは「患  部の疼痛緩和を目的とした物理療法」「患部 ROMエクササイズ」「患部筋力  トレーニング」である。しかし、そのような手法を三十年来臨床で繰り返し  た私たちが思うことは、疾患の治癒成果どころか改善の見込みさえ感じられ  ない理学療法を漫然と繰り返しているのではないかという懸念である。   今をもって西洋医学では、慢性疼痛疾患は癌などと共に効果的な治療がで  きない疾患として位置付けされている。厚生労働省による国民健康調査の結  果でも、腰痛・肩こりの有訴者が男女とも1位と2位を占め、生活の質の低下  及び就労困難による社会的損失を生む一因となっている。このような慢性疼  痛疾患の病態理解にあたり、同省から「慢性疼痛は、精神医学的要因、心理  学的要因、社会的な要因が複雑に関与して痛みを増悪させ遷延させている」  との提言がなされている。この提言を踏まえると、様々な因子によって慢性  疼痛疾患の病態が形成されていることは理解できるが、身体機能的要因につ  いては一切言及されておらず、理学療法の明確なガイドラインを得るまでに  は至っていない。   Spine Dynamics療法学術シンポジウムは、慢性疼痛疾患を身体機能的側面  から捉え直し、その共通した機能的問題点に対して、同志が自ら開発・施行  している運動力学に従った評価と治療法の高い妥当性と信頼性を確認し、国  内のみならず世界にその効果を情報発信していくシンポジウムとしたい。   日 時: 2016年 8月21日(日)   会 場: 福岡国際会議場(福岡県福岡市博多区石城町2-1)   http://www.koko-kara.info/symposium/2016/index.html ───────────────────────────────────          ■ Spine Dynamics 療法特別研修会 ■ ───────────────────────────────────   慢性疼痛疾患に対し、多くのセラピスト達が「患部のみの治療では完治し  ない」と感じているのではないでしょうか。世界的にも、慢性疼痛に対する  客観的評価法及び保存治療法はいまだ確立されておらず、現場では対症療法  が中心にならざるを得ません。   そこで我々は、患部を何らかの機序で発生した『結果』と捉えることで、  真の慢性疼痛疾患治療が実践できることを提唱します。慢性疼痛疾患の治療  では、身体のメカニカル及び反射的な両要素の因果関係を解き、根因となる  問題点を改善する必要があります。   本講演では、筋出力(作用力)と反作用力を緩衝する脊柱弯曲機能の関係  を、実技デモや多くの動画を用いて、分かりやすく説明します。  ◇ 会場・期日    福 岡: 8月27日〜28日 マイスター1(満員御礼)    沖 縄: 9月17日〜18日 入門編1・2    大 阪: 9月24日〜25日 入門編1・2    広 島:10月 9日〜10日 ベーシック1    福 岡:10月22日〜23日 マイスター2(満員御礼)    札 幌:11月12日〜13日 入門編1・2    滋 賀:11月19日〜20日 ベーシック1   内容の詳細・お申し込みはホームページで!    http://www.koko-kara.info/seminar/index.html  ◇各会場ともお申込みが大変多くなっています。   受講がお決まりの方は、お早めにお申込みいただくことをお勧めします。 ───────────────────────────────────       ■ Spine Dynamics 療法研究会(スパイン研) ■ ───────────────────────────────────  「心と体のリハビリテーション研究会」の下部組織であるSpineDynamics療  法研究会、通称「スパイン研」。発足から2年が経過し、新たな情報も追加  された内容で展開しております。   SpineDynamics療法を実践するスタッフが、臨床でのSpineDynamics療法の  経験をより多くのセラピストにお伝えし共に研鑽に励む研究会として全国で  活動を行います。   少人数でのセミナーを開催し、少しでも多くの方にSpineDynamics療法を  知って頂きたい、理解して頂きたいと複数の講師がそれぞれの視点から  SpineDynamics療法を論じています。  <開催日:場所>  ・ 8月28日    鹿児島研修会:脊柱の屈伸・側屈運動に着目  ・ 8月28日    東京研修会 :Spine Dynamics理論の理解  ・ 9月 4日    宮城研修会 :脊柱の回旋・屈伸・側屈運動に着目  ・ 9月 4日    宮崎研修会 :臨床現場で活きるSD療法を学ぶII  ・ 9月11日    東京研修会 :Spine Dynamics療法の実践  ・ 9月11日    千葉研修会 :Spine Dynamics療法概論の実践  ・ 9月18日    鹿児島研修会:第1回 技術講習会  ・ 9月25日    鹿児島研修会:仙腸関節運動に着目  ・10月 1日〜 2日 長野研修会 :脊柱の回旋・屈伸・側屈運動に着目  ・10月22日〜23日 福岡研修会 :胸郭・肋椎関節、仙腸関節運動に着目  ・10月23日    東京研修会 :全体論から推察した身体環境  ・10月30日    鹿児島研修会:胸郭・肋椎関節運動に着目  ・10月30日    千葉研修会 :SD療法の実践〜柔性改善・仙腸関節手技   スパイン研公式Facebookサイト   http://www.facebook.com/spineken   内容の詳細・お申し込みはホームページで!   http://www.koko-kara.info/spine-ken/index.html  ◇各会場とも参加人数に限りがあります。   受講がお決まりの方は、お早めにお申込みいただくことをお勧めします。 ───────────────────────────────────          ■ Spine Dynamics療法認定制度 ■ ───────────────────────────────────   Spine Dynamics療法認定とは、心と体のリハビリテーション研究会が、  Spine Dynamics療法の普及と発展を通じ、セラピストの育成と患者様や利用  者様の QOL向上に寄与するため、Spine Dynamics療法の理論と実践に基づい  たケアサービスの提供ができる施設およびセラピストを認定し、登録するも  のです。   Spine Dynamics療法認定制度には、Spine Dynamics療法を実施する施設を  認定・登録する「Spine Dynamics療法実践施設」と、セラピストを認定・登  録する「Spine Dynamics療法セラピスト」(認定資格および上級認定資格の  2段階)があります。認定施設および認定資格セラピストは、当ホームペー  ジで公表いたします。   認定制度の詳細および申請方法は、ホームページをご覧ください。   http://www.koko-kara.info/certified/index.html ───────────────────────────────────            ■ 編集担当者からの一言 ■ ───────────────────────────────────   筋膜という言葉がメディアを通して発信されるようになったのは最近です  が、我々が属する医療業界の中では、ずいぶん前から発信されていました。   まだまだエビデンスは少ない分野ではありますが、最近では筋膜リリース  を行うための様々なツールを目にすることが多く、使用方法などを少し患者  様にアドバイスすることができれば、治療の一助になるのではないでしょう  か。 **********************************************************************      − 最後までお読みいただきありがとうございました − 「KOKO-KARA Information」は、心と体のリハビリテーション研究会が主催  した研修会・講演会等に参加された方、ホームページからメルマガの配信  を希望された方に月1〜2回、無料で情報を配信するものです。   ※バックナンバーはホームページに掲載しています。    今後、このようなメールの配信が不要な方は、お手数をおかけしますが、  タイトル欄に「配信不要」とご記入の上、返信してください。  また、アドレスの変更等がございましたら、その旨ご連絡ください。       発 行 : 心と体のリハビリテーション研究会       e-mail : info@koko-kara.info       URL : http://www.koko-kara.info/       facebook: http://www.facebook.com/kokokaraken *********************************************************************