◆◇━━━━━◇◆ 心と体のリハビリテーション研究会 ◆◇━━━━━◇◆        〜*−*〜 KOKO-KARA Information 〜*−*〜              第57号:2016.6.5            サルコペニア(1)            http://www.koko-kara.info/ ◇◆◇◆◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆◇◆◇   「KOKO-KARA Information」は、心と体のリハビリテーション研究会が主催  した研修会・講演会等に参加された方、ホームページからメルマガの配信を  希望された方に月1〜2回、無料で情報を配信するものです。 CONTENTS〈目次〉───────────────────────────  ■ サルコペニアについて 〜握力と健康の視点から考える〜(1)  ■ Spine Dynamics 療法特別研修会  ■ Spine Dynamics 学術シンポジウム2016  ■ Spine Dynamics 療法研究会(スパイン研)  ■ Spine Dynamics 療法認定制度  ■ 編集担当者からの一言 ───────────────────────────────────    ■ サルコペニアについて 〜握力と健康の視点から考える〜(1) ■ ───────────────────────────────────  ■はじめに   人間は、加齢に伴い身体機能が低下(虚弱化)すると考えられます。   転倒、認知機能の低下、尿失禁、骨粗鬆症、筋肉の衰弱、歩行障害や関節  障害など、いずれも高齢期の生活に負の影響をもたらす症状が現れ、その中  でも特に筋肉量の減少症がサルコペニアです。   加齢にともなう筋量の減少や筋力の低下は、身体機能を低下させ、転倒・  骨折や寝たきりの一因となり要支援・要介護状態に至ります。また寝たきり  に至らずとも、日常生活動作や生活の質を悪化させるなど、サルコペニアは  健康長寿の実現に対する大きな障害になります。特に、超高齢社会にあるわ  が国においてその対策は急務です。   以前、過去のメルマガでロコモティブシンドローム(以下:ロコモ)につ  いては述べられていますが、今回はその中でも「ロコモの入り口・基礎疾患  と称されるサルコペニア」と「握力と健康の2つの視点から考えるサルコペ  ニア」について2回シリーズでご紹介いたします。今回は、サルコペニアの  概要についてです。  ■サルコペニア   「加齢に伴って生じる骨格筋量の低下」をサルコペニア(筋力減少症)と  いいます。筋肉を表すギリシャ語の「サルクス」と減少を表す「ペニア」を  組み合わせた造語で、1989年にアメリカの栄養学者であるローゼンバーグに  よって提唱されました。  「サルコペニア」の概念分類   サルコペニアの分類には次の3つがあります。  (1) 単なる「筋肉量」の低下だけを示すプレサルコペニア  (2) 「筋肉量」の低下に、「筋力」または歩行速度などの「身体能力」のど    ちらかの低下がみられるサルコペニア  (3) 「筋肉量」も「筋力」も「身体能力」も低下する重症サルコペニア  「サルコペニア」発生機序   通常筋肉は運動による刺激やタンパク質等の摂取により維持・増加します。  人間は1日の間に筋肉の合成と分解を繰り返しますが、成長期ではこの合成  と分解のバランスがプラスとなり、十分な量のタンパク質摂取により筋肉は  増加します。しかし高齢者では、運動や食事の摂取による筋肉の合成が低下  します。加えて食事量、特にタンパク質(アミノ酸)摂取量や運動量の減少  により、合成・分解のバランスが崩れることで、筋肉が減少する傾向が現れ  ます。   では他の様々な因子の筋力低下との違いは何でしょうか。例として、神経  筋疾患ではその病態から筋細胞そのものが減少し、さらに体の不自由さや疲  労感から不動となり、廃用性筋萎縮が生じます。つまりサルコペニアは、他  の筋力低下と違い様々な要因が複雑に絡み合うことで筋肉の減少に至ります。  しかし、詳細な部分については未だ解明されていないのが現状です。  「サルコペニアへの指導」〜栄養摂取の観点から〜   実際にサルコペニアの人は、60〜70歳で 5〜13%、80歳を超えると11〜50  %に及びます。筋肉量を維持・増進するためには、運動と適切なアミノ酸補  給、ビタミンDの補充が重要です。   特にバリン、ロイシン、イソロイシンとういう分岐アミノ酸(BCAA)は身  体のタンパク質増加に役立ち、運動時のエネルギー源としても消費されます。   タンパク質の1日の食事摂取基準量は、70歳代以上で男性60g、女性50g  です。肉類やチーズの30g中に7g程度、牛乳やヨーグルトでは 120g中に  4g程度含まれます。分岐鎖アミノ酸は、1日2〜4gを目安に運動前後に  摂取します。   ビタミンDには、骨を成熟させ、骨の重要な成分であるカルシウムを腸管  から吸収しやすくする働きがあります。さらに近年、このビタミンDが筋肉  や筋力の保持・増進に関連し、身体のバランスを保ち、転倒予防に役立つこ  とも確認されています。ちなみに転倒予防のために、高齢者に推奨されるビ  タミンDの1日摂取量は10〜20μgであり、さんま、鮭の切り身、まぐろの  刺身など主に魚に多く含まれます。   次回は、サルコペニアについてより具体的に、握力と健康の2つの視点か  ら紹介したいと思います。    ───────────────────────────────────          ■ Spine Dynamics 療法特別研修会 ■ ───────────────────────────────────   慢性疼痛疾患に対し、多くのセラピスト達が「患部のみの治療では完治し  ない」と感じているのではないでしょうか。世界的にも、慢性疼痛に対する  客観的評価法及び保存治療法はいまだ確立されておらず、現場では対症療法  が中心にならざるを得ません。   そこで我々は、患部を何らかの機序で発生した『結果』と捉えることで、  真の慢性疼痛疾患治療が実践できることを提唱します。慢性疼痛疾患の治療  では、身体のメカニカル及び反射的な両要素の因果関係を解き、根因となる  問題点を改善する必要があります。   本講演では、筋出力(作用力)と反作用力を緩衝する脊柱弯曲機能の関係  を、実技デモや多くの動画を用いて、分かりやすく説明します。  ◇ 会場・期日    長 野: 6月25日〜26日 ベーシック1    福 岡: 7月 3日    トレーナーコース    沖 縄: 7月10日    プレ概説    福 岡: 8月27日〜28日 マイスター1(準備中)    沖 縄: 9月17日〜18日 入門編1・2    広 島:10月 9日〜10日 ベーシック1    福 岡:10月22日〜23日 マイスター2(準備中)    札 幌:11月12日〜13日 入門編1・2    滋 賀:11月19日〜20日 ベーシック1   内容の詳細・お申し込みはホームページで!    http://www.koko-kara.info/seminar/index.html  ◇各会場ともお申込みが大変多くなっています。   受講がお決まりの方は、お早めにお申込みいただくことをお勧めします。 ───────────────────────────────────        ■ Spine Dynamics 学術シンポジウム 2016 ■     ───────────────────────────────────      集まれ全国のセラピストの仲間たち         新しい治療概念でパラダイムシフトを              相互啓発でさらに理解を深めよう   理学療法が誕生して50年、これまで世界的に評価法や治療法の研究開発が  行われているが、今もって臨床現場の慢性疼痛疾患治療スタンダードは「患  部の疼痛緩和を目的とした物理療法」「患部 ROMエクササイズ」「患部筋力  トレーニング」である。しかし、そのような手法を三十年来臨床で繰り返し  た私たちが思うことは、疾患の治癒成果どころか改善の見込みさえ感じられ  ない理学療法を漫然と繰り返しているのではないかという懸念である。   今をもって西洋医学では、慢性疼痛疾患は癌などと共に効果的な治療がで  きない疾患として位置付けされている。厚生労働省による国民健康調査の結  果でも、腰痛・肩こりの有訴者が男女とも1位と2位を占め、生活の質の低下  及び就労困難による社会的損失を生む一因となっている。このような慢性疼  痛疾患の病態理解にあたり、同省から「慢性疼痛は、精神医学的要因、心理  学的要因、社会的な要因が複雑に関与して痛みを増悪させ遷延させている」  との提言がなされている。この提言を踏まえると、様々な因子によって慢性  疼痛疾患の病態が形成されていることは理解できるが、身体機能的要因につ  いては一切言及されておらず、理学療法の明確なガイドラインを得るまでに  は至っていない。   Spine Dynamics療法学術シンポジウムは、慢性疼痛疾患を身体機能的側面  から捉え直し、その共通した機能的問題点に対して、同志が自ら開発・施行  している運動力学に従った評価と治療法の高い妥当性と信頼性を確認し、国  内のみならず世界にその効果を情報発信していくシンポジウムとしたい。   日 時: 2016年 8月21日(日)   会 場: 福岡国際会議場(福岡県福岡市博多区石城町2-1)   http://www.koko-kara.info/symposium/2016/index.html ───────────────────────────────────       ■ Spine Dynamics 療法研究会(スパイン研) ■ ───────────────────────────────────  「心と体のリハビリテーション研究会」の下部組織であるSpineDynamics療  法研究会、通称「スパイン研」。発足から2年が経過し、新たな情報も追加  された内容で展開しております。   SpineDynamics療法を実践するスタッフが、臨床でのSpineDynamics療法の  経験をより多くのセラピストにお伝えし共に研鑽に励む研究会として全国で  活動を行います。   少人数でのセミナーを開催し、少しでも多くの方にSpineDynamics療法を  知って頂きたい、理解して頂きたいと複数の講師がそれぞれの視点から  SpineDynamics療法を論じています。  <開催日:場所>  ・ 6月18日〜19日 千歳研修会 :胸郭・肋椎関節、仙腸関節運動に着目  ・ 6月25日〜26日 別府研修会 :胸郭・肋椎関節、仙腸関節運動に着目  ・ 6月26日    香川研修会 :Spine Dynamics理論の実践  ・ 6月26日    東京研修会 :コラボ編 第三弾  ・ 7月 2日〜 3日 沖縄研修会 :胸郭・肋椎関節、仙腸関節運動に着目  ・ 7月 3日    宮城研修会 :胸郭・肋椎関節、仙腸関節運動に着目  ・ 7月23日〜24日 福岡研修会 :脊柱の回旋・屈伸・側屈運動に着目  ・ 7月30日    香川研修会 :全体論から推察した身体環境  ・ 7月31日    香川研修会 :Spine Dynamics理論の総括  ・ 7月31日    鹿児島研修会:脊柱の回旋運動に着目  ・ 8月28日    鹿児島研修会:脊柱の屈伸・側屈運動に着目  ・ 9月 4日    宮城研修会 :脊柱の回旋・屈伸・側屈運動に着目  ・ 9月18日    鹿児島研修会:第1回 技術講習会  ・ 9月25日    鹿児島研修会:仙腸関節運動に着目   スパイン研公式Facebookサイト   http://www.facebook.com/spineken   内容の詳細・お申し込みはホームページで!   http://www.koko-kara.info/spine-ken/index.html  ◇各会場とも参加人数に限りがあります。   受講がお決まりの方は、お早めにお申込みいただくことをお勧めします。 ───────────────────────────────────          ■ Spine Dynamics療法認定制度 ■ ───────────────────────────────────   Spine Dynamics療法認定とは、心と体のリハビリテーション研究会が、  Spine Dynamics療法の普及と発展を通じ、セラピストの育成と患者様や利用  者様の QOL向上に寄与するため、Spine Dynamics療法の理論と実践に基づい  たケアサービスの提供ができる施設およびセラピストを認定し、登録するも  のです。   Spine Dynamics療法認定制度には、Spine Dynamics療法を実施する施設を  認定・登録する「Spine Dynamics療法実践施設」と、セラピストを認定・登  録する「Spine Dynamics療法セラピスト」(認定資格および上級認定資格の  2段階)があります。認定施設および認定資格セラピストは、当ホームペー  ジで公表いたします。   認定制度の詳細および申請方法は、ホームページをご覧ください。   http://www.koko-kara.info/certified/index.html ───────────────────────────────────            ■ 編集担当者からの一言 ■ ───────────────────────────────────   今回は、「ロコモの入り口・基礎疾患と称されるサルコペニア」の概要に  ついて紹介させていただきました。   高齢者におけるリハビリテーションでは、サルコペニア予防を考慮したリ  ハビリプログラム・患者指導が必要であり、基本的には「栄養」、「運動」  がきわめて重要な対策の要素です。   次回は、サルコペニアについてより具体的に、握力と健康の2つの視点か  ら紹介したいと思います。 **********************************************************************      − 最後までお読みいただきありがとうございました − 「KOKO-KARA Information」は、心と体のリハビリテーション研究会が主催  した研修会・講演会等に参加された方、ホームページからメルマガの配信  を希望された方に月1〜2回、無料で情報を配信するものです。   ※バックナンバーはホームページに掲載しています。    今後、このようなメールの配信が不要な方は、お手数をおかけしますが、  タイトル欄に「配信不要」とご記入の上、返信してください。  また、アドレスの変更等がございましたら、その旨ご連絡ください。       発 行 : 心と体のリハビリテーション研究会       e-mail : info@koko-kara.info       URL : http://www.koko-kara.info/       facebook: http://www.facebook.com/kokokaraken *********************************************************************