◆◇━━━━━◇◆ 心と体のリハビリテーション研究会 ◆◇━━━━━◇◆        〜*−*〜 KOKO-KARA Information 〜*−*〜              第6号:2010.4.25               ATトレーニング            http://www.koko-kara.info/ ◇◆◇◆◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆◇◆◇ 「KOKO-KARA Information」は、心と体のリハビリテーション研究会が主催した 研修会・講演会等に参加された方、ホームページからメルマガの配信を希望さ れた方に月1〜2回、無料で情報を配信するものです。 CONTENTS〈目次〉───────────────────────────  ■ ATトレーニング  ■ 姿勢制御アプローチ講演会 Part2 参加者募集中!  ■ 編集担当者からの一言 ───────────────────────────────────           ■ ATトレーニング ■ ───────────────────────────────────   今回は、身近なトレーニングとして行われているAT(無酸素性作業閾値、  嫌気性代謝域値:Anaerobic Threshold)トレーニングについて紹介したいと  思います。AT値を超えた運動を行うことによる乳酸発生のメカニズムに加え  て、自律神経系への影響を説明していきます。また、運動強度の設定、交感  神経活動優位な患者へのトレーニング方法について紹介していきたいと思い  ます。  1)AT値を超えたトレーニングを行うと・・・   運動強度がAT値を超えた場合には、筋に供給されるO2の量が不足します。  O2が不足すると、活動筋では、TCA サイクルによる有酸素代謝から無酵素性  代謝によるエネルギー供給に移行し、乳酸が生成されます。乳酸生成当初は  遅筋と心臓等で乳酸を除去しますが、血中乳酸濃度が上昇することにより、  拡散された乳酸と除去のバランスが崩れ、最後には骨格筋内が酸性に傾き、  骨格筋の収縮も阻害されてしまいます。   AT値には筋のAT値と呼吸のAT値があります。筋のAT値は35-45%MVCに存在  すると言われ、呼吸のAT値は50-60%MVCに存在します。呼吸のAT値は乳酸の  拡散と除去のバランスの崩れが生じたときに反映されます。つまり、筋のAT  値と呼吸のAT値にはタイムラグが存在し、このタイムラグを考慮すると45%  MVC 以上の運動強度では筋内圧による駆血が起こりO2供給ができず、乳酸が  発生してしまいます。  2)ATトレーニング強度の基準   AT値付近の運動強度での運動の基準として以下のようなものを参考にして  みてください。   (1) 翌日筋肉痛が起こらない。   (2) 運動中疲れを感じない。   (3) 汗をかかない。   (4) 息があがらない。   (5) 運動後のきつさがない。   (6) 運動を継続したいと思える。 (2006 黄川)  3)交感神経活動優位な患者へのATトレーニング   心臓は、交感神経と副交感神経による二重神経支配によって成り立ちます。  交感神経刺激によって心拍数は増加し、副交感神経刺激によって心拍数は減  少します。つまり、睡眠不足や心身ストレス、眼性疲労等の影響により交感  神経機能が優位となっている方は安静時の心拍数が上昇します。   運動強度の低い運動は、交感神経活動を抑制し、運動に余裕がなくなった  時点で交感神経が優位になるとの報告があります。つまり疲労感のない運動  強度でのATトレーニングを実施することで運動耐容能(最大酸素摂取量・無  酸素性作業域値)の向上→心機能向上→正常なリズムの自律神経機能回復を  図ることができます。 【1】上限心拍を設定できる自転車エルゴメーターを使用した上限脈拍設定法   (1) 運動時の上限脈拍数を設定する。   (2) ペダルの回転数を一定にする。   (3) 運動時のペダル負荷値の増減を観察し、最大負荷値を記録する。   (4) 最大負荷値の経日的変化を観察する。 【2】普通の自転車エルゴメーターを使用した心拍数設定方法   一般的に90-110拍、スポーツ選手でも90-120拍の間にAT閾値がありますの  で、上記 2)で示したような主観的運動強度を元に、過負荷とならないよう  に設定していきます。   AT値を超える運動療法の危険性について知り、今後の臨床において交感神  経活動が優位とならないような適切な運動処方を考えていきましょう。 ───────────────────────────────────      ■ 姿勢制御アプローチ講演会 Part2 参加者募集中! ■ ─────────────────────────────────── ◇ 姿勢制御アプローチ講演会 Part2 ご参加のおすすめ   今回は Part1に引き続き、「体幹−四肢のバイオメカと心と体の関係」に  焦点を絞った「姿勢制御アプローチ」をテーマに、学術・実践の第一人者の  先生方を講師としてお招きしました。これまでの常識を打ち破り、明確な効  果を得られる治療手法をご紹介いただきます。   参加した方々が新しい知識を習得され、意識の向上と医療の質を高めるこ  とを目的としています。この機会にぜひご参加ください。 ◇ 開催期日   2010年 9月26日(日) 京都会場(京都テルサ)   2010年10月24日(日) 東京会場(よみうりホール)   2010年11月28日(日) 福岡会場(福岡国際会議場) ◇ 参加費   19,000円/1名(税込み)    ※ 2回目以降の方、団体参加の方には割引きがあります。      Part1(前回)参加の方  18,000円/1名      団体割引:5〜9名様まで 17,500円/1名           10名様以上  16,500円/1名 ◇ プログラム(10:00〜17:30)   講演1 Spine Dynamics理論 Part1       〜全ての慢性疼痛疾患の治療対象は            「慢性疼痛を許している身体物理的環境」である〜         脇元 幸一         清泉クリニック整形外科 スポーツ医学センター施設長   講演2 身体姿勢制御         福井 勉         文京学院大学 保健医療技術学部 教授   講演3 心とカラダの動きをいかに促すか         山口 光國         有限会社フィジストレーナー 代表取締役 ◇ 内容の詳細・お申し込みはホームページで!   [トップページ]→[KOKO-KARA研究会主催の研修会]    http://www.koko-kara.info/kensyukai/index.html    ☆ お申し込みは携帯電話からも可能です。     http://www.koko-kara.info/i ───────────────────────────────────            ■ 編集担当者からの一言 ■ ───────────────────────────────────   今回はATトレーニングに関して紹介しました。臨床では運動強度の設定が  難しいのが現状ではないかと思います。正確な運動強度の設定は、高価な機  器があれば容易ですが、どこにでもあるものではありません。今回ご紹介し  た運動強度の設定をすることでAT値を超えた過負荷の運動になることはあり  ません。   AT値を超えた運動強度は交感神経活動優位となり、結果筋出力の抑制が慢  性疼痛の引き金となってしまいます。AT値は一人ひとり違いますので、運動  強度の設定には慎重になる必要があります。   また自転車エルゴメーターは有酸素運動としてだけでなく、自律神経機能  回復のためにも効果的であり、患者の日々の自律神経機能にかかるストレス  の程度を把握する評価としても有効です。患者自ら数値をモニタリングし、  自分の生活背景について考察していただくことで、自己医療への関心も高ま  りやすいと考えます。以上の詳しい内容・質問は「コミュニケーション広場」  で是非語り合いましょう(^^) **********************************************************************      − 最後までお読みいただきありがとうございました − 「KOKO-KARA Information」は、心と体のリハビリテーション研究会が主催  した研修会・講演会等に参加された方、ホームページからメルマガの配信  を希望された方に月1〜2回、無料で情報を配信するものです。   ※バックナンバーはホームページに掲載しています。    今後,このようなメールの配信が不要な方は、お手数をおかけしますが、  タイトル欄に「配信不要」とご記入の上、返信してください。  また、アドレスの変更等がございましたら、その旨ご連絡ください。       発 行 : 心と体のリハビリテーション研究会       e-mail : info@koko-kara.info       URL : http://www.koko-kara.info/ *********************************************************************